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羽賀 勝洋; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 若井 栄一; 二川 正敏
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 13 Pages, 2022/03
J-PARCではMWクラスの核破砕中性子源を実現するために水銀ターゲットの流路構造としてクロスフロー型ターゲットを開発し、流路構造の改良を継続してきた。高出力の短パルス陽子ビームが水銀ターゲットに入射すると、急激な水銀の発熱と体積膨張により最大40MPaにも達する圧力波が誘起され、ターゲット容器にキャビテーション損傷を生じさせる。このため、水銀流路にマイクロバブル生成器を配置し、バブルの収縮により水銀の体積膨張をクッションのように吸収することで圧力波を低減する技術や、陽子ビームが入射する容器壁に内壁を設けて、狭隘流路に形成される速い水銀流れの大きな速度勾配を利用してキャビテーション損傷を低減する技術などを水銀ターゲット容器の流路構造に導入した。これらの技術開発により、2020年には36.5時間の1MW連続運転を成功させ、2021年4月から最大740kWの高出力で長期の安定な利用運転を達成した。本報告は、主に水銀ターゲット容器の熱流動設計に関して1MW運転を実現するまでの技術開発をまとめたものである。
粉川 広行; 石倉 修一*; 佐藤 博; 原田 正英; 高玉 俊一*; 二川 正敏; 羽賀 勝洋; 日野 竜太郎; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; et al.
Journal of Nuclear Materials, 343(1-3), p.178 - 183, 2005/08
被引用回数:8 パーセンタイル:49.16(Materials Science, Multidisciplinary)JSNSのために開発を進めているクロスフロー型(CFT)水銀ターゲットでは、ビーム窓近傍での水銀の停滞領域発生を抑制するために、水銀を陽子ビームに直交するようにフローガイドブレードに沿って流す。これまで、水銀のモデルに弾性モデルを用いて動的応力解析を行ってきた。しかしながら、実際に陽子ビームを用いた最近の実験結果から、水銀のモデルにカットオフ圧力モデルを用いた方が実験結果に近い動的応力が得られることが示された。そこで、カットオフ圧力モデルを用いて動的応力解析を行った結果、半円筒型ビーム窓に発生する動的応力が、平板型ビーム窓に発生する応力よりも低くなることを明らかにした。また、陽子ビームを広げてピーク発熱密度を218W/ccまで低減して、ビーム窓の発生応力を許容応力以下にした。一方、陽子ビーム窓を広げたため、フローガイドブレード先端の発熱密度が高くなり、許容応力を超える熱応力が発生したが、ブレードの先端の形状を、水銀の流動分布に影響を及ぼさない範囲で薄くすることによって、発生する熱応力を許容応力以下にした。
羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 神永 雅紀; 日野 竜太郎; 田川 久人*; 久木田 豊*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/04
大強度陽子加速器計画で建設される物質・生命科学実験施設の核破砕ターゲットとして、陽子ビームの入射方向に対して直交する方向に水銀が流れるクロスフロー型ターゲット構造を検討してきた。本報告では合理化設計の一環として、内部構造をより簡素化し、製作性の向上と製作コストの低減を目指した多孔板を用いる方式について、その有効性を非加熱の水流動実験及び解析により検討した。多孔板を有するクロスフロー型水銀ターゲットの実規模アクリルモデルを製作し、PIV(Particle Image Velocimetry)法を用いてモデル内の水流速分布を測定するとともに、流動解析を行い実験値と比較した。その結果、多孔板によりクロスフロー型の流れが実現できること、また、解析モデルは冷却に特に重要となる陽子ビーム照射領域での流れパターンを良く再現できることがわかった。
大貫 晃; 秋本 肇
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(11), p.1021 - 1029, 1999/11
被引用回数:1 パーセンタイル:13.15(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究所で実施した大型再冠水試験では高出力集合体での熱伝達が促進した。ある半径方向出力分布のもとでの炉心熱伝達の促進はPWR-LOCAにおける安全裕度を定量化するうえで非常に重要である。本研究では、多次元二流体モデルコードREFLA/TRACにより大型再冠水試験の結果を解析することにより熱伝達促進現象を引き起こす物理機構を分析した。熱伝達の促進は炉心内循環流の形成により生ずる局所液流速の増加に起因し、その循環流は半径方向出力分布により形成されるクエンチフロント下側での水頭の半径方向分布により生ずる。熱伝達促進現象を高精度に予測するための解析上の指針を提示した。
岩井 保則; 山西 敏彦; 西 正孝
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(1), p.95 - 104, 1999/01
被引用回数:12 パーセンタイル:66.16(Nuclear Science & Technology)中空糸膜を用いた排ガス中の水素ガス回収システムの定常シミュレーションモデルを提案した。このモデルでは膜の非多孔質部分の拡散、支持構造体中の拡散及び膜表面におけるガス境膜内の拡散を考慮した。システムのガス流れとしては、十字流、混合流、向流、並流の4つの流れを想定した。膜透過の物質移動においては膜の非多孔質超薄膜層が律速段階となっており、全体の物質移動の約99%を支配していることが明らかとなった。当研究室においておこなわれた窒素-水素系あるいは空気-水素系の実験結果は流量10m/h、供給圧2580Torr、透過圧80Torrの実験条件において、十字流モデルの結果と一致することが明らかとなった。又水蒸気が混在する空気中からの水素回収において水素回収率は計算結果とよく一致するが水蒸気の回収率は計算値が若干低くなった。この原因は水蒸気の透過係数の不確定性が考えられる。
神永 雅紀; 日野 竜太郎; 須々木 晃*; 坂下 元昭*; 中村 文人*; 田川 久人*
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), 1, p.269 - 277, 1998/00
5MW水銀ターゲットシステムの設計では、水銀による構造材の浸食や腐食を防ぐために低流速で十分な除熱能力を確保する必要がある。本報告では、低流速で除熱可能なクロスフロー方式ターゲットの概念を検討するために実施した熱流動解析結果について述べる。再循環流を防ぎ流れをビームに対してクロスされる構造とするため、容器内部にビームと並行に整流板を2枚設置し整流板に設けた開口部をビーム窓に近づくに従って大きくする構造を提案した。本構造を採用することにより、水銀の最高温度は220C以下に、水銀流速は1.5m/s以下に抑えることが可能であることを解析により示した。さらに、開孔率を変えることにより最高温度を低減することが可能であるとの目処を得た。
近藤 昌也; 安濃田 良成; 久木田 豊
日本機械学会第72期全国大会講演論文集,Vol.II, 0, 3 Pages, 1994/00
気液二相流における波状流からスラグ流への遷移機構を評価するに際して、波の形状及び成長過程を調べることは重要である。しかし、単一の波を対象とする場合、周期関数を積分核として用いるフーリエ解析では限界がある。そこで、wavelet変換を局所的な周波数フィルターとして用いることにより,スラグへと発達する波の、伝播による形状の変化について評価した。その結果、スラグに至る波については波状流を構成する波とは異なり、発達の過程で波周辺の広範囲の水位上昇を引き起こすことを示した。また、スラグ発生直前の波状流を構成する波については波頭の急峻化及び崩壊による形状の変化が激しいこと示した。さらに、波状流の水位の相互相関については、比較的低い周波数領域で変調の影響を強く受けるものの、それより高い周波数領域では位相速度に対応する相関のピークが抽出可能であること示した。
高瀬 和之; 日野 竜太郎; 宮本 喜晟
日本原子力学会誌, 33(6), p.564 - 573, 1991/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)HENDELに設置されている燃料体スタック実証試験部の多チャンネル試験装置(T-M)は、HTTRの炉心1カラムを模擬した大規模試験装置である。このT-Mを使って、クロス流れ試験を実施した。本試験の目的は、黒鉛ブロックの外周から冷却材流路内にギャップを通ってクロス流れを生ずる場合の燃料体の熱流動特性を調べることである。クロス流れは、加熱領域の上部から3段目と4段目の黒鉛ブロック間に設定した平行ギャップにより、強制的に発生させた。平行ギャップ幅が0.5~2mmの場合のクロス流量は、加熱時には総ヘリウムガス流量の43~56%、等温流時には5~37%であった。また、クロス流量はギャップ幅の減少に伴ってNo.1~6流路で構成される内側流路よりもNo.7~12流路から成る外側流路に多く流れ込むことがわかった。
岩村 公道; 大貫 晃; 傍島 真; 安達 公道
JAERI-M 86-196, 97 Pages, 1987/01
平板炉心試験装置(SCTF)の再冠水試験において、半径方向出力分布効果と不均一上部プレナム蓄水効果に基づく炉心内2次元熱水力挙動が観察された。この2種類の効果が多次元解析コ-ドCOBRA/TRACで いかに表現されるかを調べる為の計算を行なった。その結果、半径方向出力が存在すると、高出力バンドルでの蒸気流量が増大する為、クエンチフロント上方における高出力バンドルでの熱伝達が促進される事が示された。また、不均一上部プレナム蓄水により、炉心内の水平方向圧力勾配により蒸気が中心バンドルに集中し、クエンチフロント上方での蒸気及び液滴の流量が周辺バンドル内で低下する為、同バンドル内での熱伝達が低下する事が示された。以上の2次元挙動計算結果はSCTFで観察された炉心熱伝達挙動と類似した傾向を示しており、SCTF試験における2次元効果のメカニズムを考察する上で有用である。
岩村 公道; 安達 公道; 傍島 真
JAERI-M 86-184, 59 Pages, 1987/01
PWR-LOCA時再冠水過程での横流れ流量を評価するため、空気-水ニ相流下での燃料集合体横流れ抵抗係数を実験的に求めた。実験範囲は、バンドル入口および出口でのロッド間ギャップにおける横流れ流速0.224~2.99m/s,見かけの垂直水流速0.025~0.248m/s,およびボイド率0~0.34である。空気の横流れ流量は空気の上向き流量に比べて小さかった。二相流中での横流れ抵抗係数は水単相流中よりも大きく、あるボイド率(限界ボイド率)以下では、ボイド率上昇または横流れ流速減少に伴なって増加した。この領域での横流れ抵抗係数をボイド率および横流れレイノルズ数の関数として表示する相関式を提案した。限界ボイド率は、横流れおよび垂直水流速の増大に伴ない増加した。この限界ボイド率以上では、横流れ抵抗係数は逆にボイド率増加と共に減少した。また、二相流横流れ抵抗係数に及ぼす横流れとバンドル格子の相対角度の影響は小さかった。
岩村 公道; 安達 公道; 傍島 真
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(7), p.658 - 660, 1986/00
被引用回数:1 パーセンタイル:28.17(Nuclear Science & Technology)PWR-LOCA時再冠水過程における横流れ抵抗係数を求めるため、616本ロッドバンドル下部より空気-水二相流を流入させ、さらにバンドルの一方の側面より水単相流を流入させて、バンドル内垂直二相流に水平流が重複した流動様式下での水平差圧とボイド率を測定する実験を行った。この結果以下の知見を得た。1)気泡流中での横流れ抵抗係数は単相流中よりも大きくなり、ボイド率増加又は横流れ流速減少に伴って増加する。2)この領域での横流れ抵抗係数は、ボイド率及び横流れレイノルズ数の関数として表示できる。3)流動様式が気泡流からスラグ流に遷移すると、横流れ抵抗係数はボイド率増加と共に減少する。
文沢 元雄; 鈴木 邦彦; 村上 知行*
JAERI-M 85-186, 58 Pages, 1985/11
本報告は多目的高温ガス実験炉の詳細設計(II)システム調整(1)合理化システムの立案の中で設定された炉心を対象として実施した炉内流量配分感度解析について述べたものである。本研究の目的は、炉内流量配分解析データを再評価し、燃料冷却に直接寄与する流量である炉心有効流量の増加を計ることである。得られた結果は以下の通りである。(1)炉心有効流量に対し感度の高い項目は、クロス流れ係数及ひ固定反射体面間ギャップ量である。(2)感度の低い項目は、固定反射体シール要素のシール性能、上部遮蔽体ギャップ量、高温プレナムブロックのシール要素のシール性能及びギャップ量である。(3)解析データを再評価することによって、フランジ型の36本型燃料体を用いる場合、炉心有効流量割合は約90%となり、システム調整(1)phase1炉心における値に比べて約5%増加する。
鈴木 邦彦; 文沢 元雄; 村上 知行*; 平野 光将; 宮本 喜晟
JAERI-M 85-184, 105 Pages, 1985/11
多目的高温ガス実験炉詳細設計(II)炉心の有効流量(燃料チャンネルからの除熱に有効に寄与する冷却材線量)を、燃料体ブロック水平面間ギャップの発生に起因するクロス流れ並びに、固定反射体及ひ高温プレナムブロック等のブロック間シール構造と漏れ流れとの関連において検討した。燃料チャンネルからの除熱に有効な冷却材流量の原子炉全流量に対する割合として定義される炉心有効流量割合は、燃焼初期状態において約82%であり、燃焼が進むとわずかに減少するが、燃焼末期(425日)でも約81%である。また、燃料カラム内の各燃料チャンネルへの冷却材流量配分は、燃焼末期の炉心周辺部のカラムで最小となり、その割合はカラム平均チャンネル流量の98%である。
岩村 公道; 数土 幸夫; 傍島 真; 刑部 真弘; 大貫 晃; 阿部 豊; 安達 公道
JAERI-M 83-122, 85 Pages, 1983/07
平板炉心試験装置(SCTF)計画は、PWR-LOCA時の再冠水過程における、炉心部の2次元的な熱水力挙動や、炉心と上部プレナム間の流体挙動の相互干渉を調べることを目的としている。本報告書では、強制注入試験シリーズのうち、試験S1-04(高サブクーリング試験)とS1-01(基準試験)において観察された、炉心入口サブクーリングの再冠水現象に及ぼす影響についての解析結果を報告する。実験結果より、炉心入口サブクーリングが大きくなると、クエンチ伝播が速くなり、クエンチフロント近くの熱伝達率は改善され、クエンチ発生時のボイド率は小さくなり、炉心および上部プレナム内蓄水量は多くなり、ホットレグキャリーオーバー量は少なくなり、炉心内の横流れの強さは大きくなることがわかった。
刑部 真弘; 安達 公道
JAERI-M 82-003, 18 Pages, 1982/03
近年、軽水炉の冷却材喪失事故に関連して、燃料集合体内の二次元的熱水力挙動が注目されている。この現象を解析する上で燃料集合体を斜めに横ぎる二相流(横流れ二相流)の圧力破損は、最も重要な役割をはたすものと考えられる。本研究においては、横流れ二相研究の第一段階として、大気圧の水-空気二相流が、非加熱模擬燃料集合体内を、燃料棒に対する迎え角で斜めに横切るときの特性を実験的に調べてみた。また、空気単相流の圧力損失データも基礎的なものとして紹介してある。得られたデータは、単相流ではCOBRA型の計算と、二相流では均質流モデル、ドリフトフラックスモデルと比較検討を行なった。